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「明日からは、自分のために。」新垣の言葉に高橋、涙にむせぶ ── モーニング娘。高橋愛 卒業公演


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写真拡大「愛ちゃんは自分のことよりも、みんなのことを考えてこの10年間頑張ってきたから、明日からは、自分のために、前に進んで行ってほしいなって、心から思います。」── 新垣里沙

◆モーニング娘。画像@2011.09.30<モーニング娘。コンサートツアー2011秋 愛 BELIEVE ~高橋愛 卒業記念スペシャル~>ファイナル

モーニング娘。のコンサートツアー<モーニング娘。コンサートツアー2011秋 愛 BELIEVE ~高橋愛 卒業記念スペシャル~>最終公演が、9月30日に日本武道館にて開催された。同公演をもって、リーダーの高橋愛が、10年1ヶ月にわたるモーニング娘。から卒業。今後は女優として活動し、帝国劇場で11月27日からスタートする帝劇100周年記念公演『ダンス オブ ヴァンパイア』で、ヒロインのサラを演じる(知念里奈とダブルキャスト)。

  ◆  ◆  ◆

8500人のファンが集まった、最終日の日本武道館。入り口では、ファン有志による黄色いサイリウムの配布が行なわれている。黄色は、モーニング娘。における高橋愛のパーソナルカラー。アンコールのタイミングで、これまで、高橋が大きな愛情で多くの人たちを包み込んできたように、今度は、日本武道館のステージに立つ彼女を黄色い光で包み込んで、感謝の気持ちとともに卒業をお祝いしようという企画だ。

モーニング娘。としての10年1ヶ月、そしてリーダーとしての4年4ヶ月。誰もが、高橋愛のモーニング娘。ラストの瞬間を見守ろうと会場に足を運んでいた。開演前には、「愛 LOVE」うちわを手に明石家さんまが客席に姿を現し、コンサートスタート直前のオーディエンスのテンションを一気に高める(高橋とは、MBS『ヤングタウン土曜日』で共演)。さらに関係者席には、当日の『笑っていいとも!』に出演し、会場に足を運ぶことを語っていた後藤真希、そして吉澤ひとみ、久住小春、小川麻琴、藤本美貴、辻希美、亀井絵里といったモーニング娘。OGのメンバー、里田まい、スマイレージ、吉川友、アップアップガールズ(仮)ら同じ事務所の仲間の姿も。そのほかにも数多くの関係者らが来場し、その数は小さなライヴハウスならばいっぱいになるほどであった。

一般のオーディエンスに目を移しても、普段のモーニング娘。のコンサート以上に、女子率が高かった。九段下の駅から日本武道館に向かう途中、気づいたら自分の周りを10代、20代の女子ばかりが歩いていた。記者も含めて、そんな体験をした人も少なくないはず。モーニング娘。、そしてハロー!プロジェクト全体のリーダーとしてグループを引っ張ってきた高橋は、メンバーや先輩、後輩はもちろん、その容姿や性格、キャラクターが、広く同性からも支持を受けていた。

日本武道館は、18時の開演前から、高橋愛への愛で溢れていた。

スウィングするリズムに乗って、仮面をつけた男役の高橋に、ドレスをまとった娘役のメンバーたち。高橋が愛してやまない宝塚へのオマージュのような、エレガントなステージ。高橋のモーニング娘。デビュー曲「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」から、卒業公演の幕は上がった(余談だが、Web上では、前日に行なわれた同公演の高橋の写真をもとに、宝塚ファンの女性たちからも「卒業おめでとう!」という声が広がっていた)。

最新シングル「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」や、10月12日リリースのアルバム『12,スマート』からの楽曲などが披露された本編。モーニング娘。は、“いつもどおりの完成度の高いエンターテインメント”を披露する。新垣里沙の体全体でライヴを楽しんでいるダイナミックなパフォーマンスもそうだし、田中れいなや道重さゆみもキャラを存分に発揮。「事務所は推してくれないから自分で仕事を取りに行くしかない」等々、ふたりは“舌好調”で、オーディエンスを大いに笑わせる。1月に加入したばかりの9期メンバー(譜久村聖、生田衣梨奈、鞘師里保、鈴木香音)は、まるで左距骨疲労骨折で療養中の光井愛佳の穴は自分たちで埋めるんだと言わんばかりの頑張りを見せていた。

同時にその姿は、リーダー・高橋愛が、安心してモーニング娘。を卒業できるように。そんな想いすら感じられた。

そして、アンコール。いよいよ、高橋愛の卒業セレモニーが始まる。暗闇の中で浮かび上がる、オーディエンスひとりひとりが灯した黄色い光。会場全体が高橋への感謝の気持ちで揺れている。

ステージ上には1本のマイクスタンドが用意され、そして高橋が登場。想いを綴った手紙を読み上げる。福井に住んでいた女の子が、友達が教えてくれた新聞広告を見て、モーニング娘。のメンバーにチャレンジする頃の話から、加入した当時より続く5期の絆。そしてラジオ番組『ヤンタン』で鍛え上げられた話。初めてソロパートをもらえた「そうだ! We're ALIVE」。卒業が決まってから、モーニング娘。がもっと好きになったこと。リーダーになりたての迷っていた頃に、つんく♂プロデューサーから言われた言葉から始まった、アットホームなモーニング娘。という形。メンバーへの感謝の言葉。新リーダー・ガキさんへの期待。スタッフ、そしてファンへの感謝の言葉……。

「みんな、大好きです!」

涙と笑顔でそう叫んだ高橋は、シングル「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」の“高橋愛 モーニング娘。卒業記念盤”に収録されているソロ曲「自信持って 夢を持って 飛び立つから」を披露。音をかき消すかのような大きな「愛ちゃん!」コールに包まれた彼女は、ステージを大きく動き回り、最後まで“かっこいい高橋愛”の姿を我々に見せつける。ギターが心地よいアッパーなサウンドで、<自信を持って 諦めないで / 輝け!未来>と熱唱するこの曲は、つんく♂から高橋へのメッセージであり、同時に高橋自身の決意であり、そしてモーニング娘。リーダーとして、メンバーへ、後輩たちへ、そしてファンへと向けた最後の激励でもあった。

モーニング娘。メンバーひとりひとりから、高橋愛へ向けての言葉が伝えられる時間。前日に発表されたばかりの10期メンバー、さらにステージには、松葉杖をついた光井愛佳の姿もあった。

「愛さんがリーダーの間にモーニング娘。に入ることができて、本当によかったなって思いました。たった2日間でしたけど、この2日間を本当に誇りに思います。」── 飯窪春菜

9期、10期にとって高橋愛は、自分が目指したモーニング娘。をリーダーとして作り上げてきた、憧れの人。その人の卒業を前に彼女たちは自分の言葉で、想いを伝えていく。「メアド変えてもまた教えてください」「後でサインください!」「一緒に新大久保に行って食べたトッポギが美味しかった」「(自分がモーニング娘。に加入したコンサートで、一緒に泣いてくれた)高橋さんの涙は、私にとっての宝物」。特に9期のメンバーは、加入して9ヶ月ながら、ここでも個性を発揮したコメントを次々に残す。後輩たちの言葉を聞き入り、リクエストされる最後のお願いに「もちろん!」と笑顔で快諾していく高橋。彼女たちの成長の早さがあれば、自分が抜けてもモーニング娘。は大丈夫。後輩の姿を愛おしそうに眺める彼女の眼差しには、そんな喜びや優しさを湛えていた。

そして「愛佳!」の声援がオーディエンスから巻き起こる。怪我のためにツアーを降板し、久しぶりに姿を見せた光井愛佳。彼女は、「もっと愛ちゃんから勉強したかった、吸収したかったです。」と、悔しさを滲ませながらも、「愛ちゃんのことがすごく好きです。愛ちゃんの表現力がすごく好きです。みんなとここに立って、卒業をお祝いできたことをすごく幸せに思います。」と気持ちを述べる。高橋は、怪我をおして駆けつけた光井のそばに寄って「ありがとう。」と、強く抱きしめた。

モーニング娘。の中で、高橋愛とともに歌唱パートが多く振り分けられていた田中れいな。「愛ちゃんとはライバルでもあったけど、一緒に助けあって、吸収できた。」「メンバーに会うのが気まずいなって壁を作ってしまってた時に、愛ちゃんだけは普通に接してくれた。」。モーニング娘。の中でも人一倍“芯の強い”この博多っ子は、熱いハートを持ちつつも、時に自分の気持ちを素直に使えない不器用な性格の持ち主。そんなれいなからの言葉には、「今までありがとう。」と、高橋への感謝の気持ちだけが、ただただ並んでいた。

「こんなさゆみなのに、いっぱい優しくしてくれたし、いっぱい愛を持って接してくれて、本当に嬉しかったです。」「愛ちゃんがリーダーだからこそ、今のモーニング娘。があると思うし、こうやってファンのみなさんとの温かい空気も、愛ちゃんだからこそできあがったもの。」。道重さゆみは、言葉を詰まらせながらも、新垣、そして6期の田中とともに、これからのモーニング娘。を引っ張っていくことを約束。「さゆみも新大久保に連れてって!」とおねだりしながら「愛ちゃん大好き!」と、抱きついた。

そして、サブリーダーとしてともにモーニング娘。を引っ張ってきた新垣里沙が高橋愛の元に。

「愛ちゃん、卒業おめでとう。私は、愛ちゃんと一緒に10年前に加入して、ずっと近くで見てて、一緒に頑張ってきて。愛ちゃんがリーダーになって、愛ちゃんは自分のことよりも、みんなのことを考えてこの10年間頑張ってきたから、明日からは、自分のために、前に進んで行ってほしいなって、心から思います。」── 新垣里沙

これまで、後輩からのコメントに気丈に笑顔で応えていた高橋だったが、10年にわたって、ともに苦しみや悲しみ、そしてそれより何倍も大きな喜びを分かち合ってきた5期の仲間を前にして、その目からは大きな涙がこぼれ、思わず手で顔を覆う。2010年12月の亀井絵里、ジュンジュン、リンリンの卒業セレモニーでも、凛とした姿で自分の弱い面は見せず、モーニング娘。リーダーとして卒業する者をひたすらに激励し、スポットライトの当たる場所では決して涙を拭うことのなかった高橋。そんな彼女が、メンバーからの言葉で崩れた瞬間だった。

「愛ちゃんとやってきたこの10年は、ほんとに一言や二言じゃ収まりきれない。でも、全部、私にとって大切で、素敵な時間でした。」。そう言って、新垣と高橋はしっかりと抱き合う。8500人のオーディエンスからは止むことのない拍手と歓声。そしてそのまま、ピアノのイントロで「友」がスタートする。高橋は、涙を浮かべながらも、ステージ上の仲間たちの頭を撫でたり、顔を寄せ合ったり。一方、高橋と並んだ9期の生田と鈴木は、涙で顔をくしゃくしゃにさせる。

そしてタブルアンコールは、メンバー、オーディエンスでの大合唱となった「涙ッチ」。涙を振り切るように歌い上げた高橋は、羽織っていたジャージやキャップ、リストバンドなどを客席に次々投げ込み、武道館の一番上のステージに立ち、深々と一礼する。そして一旦はステージを降りたものの、それでも止むことのない「愛ちゃん!」コールを受けて、再び登場。両手を広げて、ファンの気持ちを体いっぱいに受け止める。

最後の瞬間に涙はない。満足気な、幸せそうな笑顔とともに、高橋愛は、10年1ヶ月のモーニング娘。の活動にピリオドを打った。

気づけば、そこにはいつも高橋愛がいて、卒業と加入を繰り返すモーニング娘。があった。

破壊と再構築。定められたシステムの中で、モーニング娘。は、いつ、いかなる時も、日本のガールズグループの中で最高レベルのライヴパフォーマンスで我々に夢を見せてくれた。彼女たちならステージで魅了してくれる、と、我々がいつも信じて疑わなかったのは、思えば、「モーニング娘。には高橋愛がいる。」という安定感、安心感があったからにほかならない。

そして高橋は、そんなファンの期待や、スタッフや関係者、そしてメンバーからの信頼を150cmちょっとの華奢な体で背負って、この4年4カ月もの間、歩いてきた。

「自分のことよりも、みんなのことを考えてこの10年間頑張ってきたから、明日からは、自分のために、前に進んで行ってほしい。」という、同期・新垣里沙の言葉こそ、モーニング娘。のリーダー・高橋愛を最も端的に現しており、多くの人が心から願っていること。彼女は、モーニング娘。のメンバーやハロー!プロジェクトの仲間たちはもちろん、スタッフ一人ひとりに目を向け(そのスタッフがモーニング娘。に直接関わっているか否かは関係なく)、敏感にシグナルを察知し、そして、人知れず励まし続けてきたという。「過去に高橋に救われたことがある。」という関係者からの声は、実際、記者の耳にも届いている。

そんな高橋愛が率いてきたモーニング娘。だからこそ、過去のどのモーニング娘。にも負けないもの=強い絆があった。たとえば、亀井絵里とジュンジュン、リンリンが卒業する直前の8人体制のモーニング娘。は、“史上最高の8人”とも称された(詳細は、2010年12月の記事「亀井絵里、ジュンジュン、リンリンの卒業と、モーニング娘。という名の“家族”の絆」を参照)。

いろいろな“数字”がもてはやされる音楽業界ではあるが、数字を見ていているだけでは見えてこないもの。それが、モーニング娘。の中にはある。言ってしまえば、多くのハロー!プロジェクト外のアイドルたちがモーニング娘。のコンサートを見学したり、“数字を持っているアーティスト”が、お忍びで彼女たちのライヴに訪れる理由は、もちろん同じ世界でライバルでありながらも、モーニング娘。というグループが自分の中で憧れだったという部分もあるだろうし、モーニング娘。のエンターテインメントをお手本にしたいと考えるところもあるだろう。しかし、モーニング娘。の持つ、一朝一夕で作り上げることのできないものから生まれる何かを目の当たりにして、それに惹かれ、同時に、少しでも吸収したいと思うところもあったはずだ。

そんなモーニング娘。から、高橋愛が卒業した。後を任されたのは、最後の5期メンバーであり、サブリーダーとして高橋を支え続けてきた新垣里沙だ。「ガキさん、先に卒業しちゃうけどごめんね。でもガキさんなら、新しいモーニング娘。を作ってくれると信じています。」と、高橋は卒業にあたっての手紙の中で新垣に期待を寄せた。

モーニング娘。に一番近いところで、誰よりも深くモーニング娘。を愛してきた新垣と、そして、モーニング娘。に一番近いところで、誰よりも長く、モーニング娘。を愛してきたつんく♂プロデューサーによる、これからのモーニング娘。。高橋が育てた絆を引継ぎ、この12人は、どんなふうに形を変えながら、多くの人に夢や希望、愛を与え、我々を魅了してくれるのだろう。

夢はみなけりゃ始まらない── 。次の夢は、今、始まったばかりだ。

  ◆  ◆  ◆

ところで、関係者や報道陣なら周知のことだが、日本武道館には関係者用の無線LANが設置されている。当然、このアクセスポイントにはパスワードがかけられていて、一般は利用することができない。

「ai_believe」── 公演が行なわれた2日間。このフレーズが、同アクセスポイントのパスワードだった。これまで、日本武道館でいくつかライヴ取材を行なってきたが、このようなパスワードは、今回の公演が初めてだと記憶している(たいていは、ランダムなアルファベットの組み合わせがパスワードとなる)。所属レコード会社の関係者も、武道館のこの粋な計らいには驚いていた。

多くの人の目に触れることはない些細なことかもしれないが、これもまた、ファンを越えた多くの人が高橋愛を愛し、卒業を惜しみつつも祝福していたという、ひとつの形だ。

text and photo by ytsuji a.k.a 編集部(つ)
◆モーニング娘。 オフィシャルサイト



http://news.livedoor.com/article/detail/5906982/
※この記事の著作権は配信元に帰属します。







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